秘密の恋は1年後

「分かった。尚斗、羨ましいんだろ。彼女もいなくて仕事ばかりだもんな」
「俺がいるのにお構いなしで、そういうことをするのもどうかと思ってたけど」
「お前が勝手に上がりこむほうが問題だろ?」

 言い合いをする兄弟を横目に、結衣さんが持ってきてくれた自家製梅酒のソーダ割りをいただく。


「聞いてはいけないことを聞いてしまったようですみません」
「大丈夫ですよ。尚斗さんがバラしたのがいけないんです」

 彼女は兄弟の言い合いを止めることなく、私と顔を見合わせて微笑んだ。


「まったく……。麻生さん、こんな弟ですけど、どうぞよろしくお願いしますね」
「こちらこそ、社長にはお世話になっていますし、ご夫婦にも仲よくしていただけてありがたいです」
「じゃあさ、今度は俺の家にもおいでよ」
「えっ!?」

 ことごとく社長は不意を突く。
 返事に困っていると、彼はぷっと笑って目尻を下げた。そして、私を見つめて微笑み、返事を待っている。

 だけど、どんな返事をすればいいのか思いつかなくて、ドキドキさせられた鼓動を隠す。

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