秘密の恋は1年後
「社長はどうされますか?」
「軽く飲むよ」
「では、私も少しだけいただきます」
飲まないと、緊張で食事が喉を通らないと思う。彼はきっとそんなことはなく、一日の疲れを癒すためのアルコールなんだろうな。
ジャケットを脱ぎ、Yシャツ姿になった彼は、おもむろにネクタイの結び目に指をかけて緩め、ボタンをひとつ外した。
突然変わった関係に、なんとか気持ちを追いつかせようとするけれど、頭では理解できないままだ。
告白されたって、同棲が決まっていたって、こうしてデートをしていても、目の前の彼は三年もの間、焦がれてきた人であることに変わりない。
だから、今夜は彼の考えていることを聞かせてほしいし、どうしたら恋人になった実感が持てるのか教えてほしい。
すぐに用意された生ビールのジョッキを持って、乾杯をした。
美味しそうに飲む彼の手が大きくて、中ジョッキが幾分か小さく感じる。
上下する喉元が色っぽくて、食事を選ぼうとしていた視線が釘付けになってしまった。