秘密の恋は1年後

「先々月、異動の関係で話した時に一瞬で惚れたんだ。……もう十分だろ? 俺の恋人になった自覚持ってくれる?」

 強い口調にミスマッチな甘い答えを聞かされて、急沸騰した私の頬が熱くなった。


「あぁ、そうだ。麻生さんの誕生日はいつ?」
「八月十五日です」
「じゃあ、今日を交際記念日にしよう。ちょうど三カ月前だから覚えやすくていい。それと、少し先だけど、誕生日は予定を空けておいて。俺が祝うって決まってるから」
「……はい」

 なんだか急なことばかりで、息つく間もない。
 だけど、幸せが過ぎて、素直に返事をしていた。

 今日、五月十五日は、私が千堂社長の恋人になった日。
 そして、二十六歳の誕生日は、彼にお祝いしてもらえると決まった。

 まともに正面の彼を見れなくて、お皿とにらめっこしながらも、今にも飛び跳ねたくなる現実に涙が出そうなほど嬉しい。

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