クールな社長の耽溺ジェラシー
「なにか飲むか? ミルクティー、作れるけど」
ソファから立ちあがると、私を座るように促してくれた。
「お願いします」
本当はすぐにでも帰りたいところだったけれど、新野さんがまだ濡れたままだったのが気になり、さらに部屋に置かれたライトが見たいという気持ちが勝った。
あと、ミルクティーを勧められたのも大きかった。
「新野さんがミルクティーって意外ですね。好きなんですか?」
「いや、まったく。けど、そっちは好きだろ?」
キッチンに立った新野さんとバチッと目が合う。その瞬間、心臓が大きく跳ねあがった。
「え……な、なんで知ってるんですか?」
「そんなに驚くことじゃないだろ。休憩中、毎回飲んでたらそれくらいわかるよ」
当たり前だとばかりに言うと、シンプルな黒のマグカップに紅茶を注ぎはじめた。いい香りがふわりと私のところまで漂ってくる。
「あ、でも牛乳と紅茶があるってことは、新野さんもたまには飲むってことですよね?」
「全然。牛乳は牛乳で飲んで、紅茶はほとんど飲まないけど、たまたま施主からもらったやつがあったから。それだけだ」
ソファに座っていた私の前に、湯気が立ちあがるミルクティーが差しだされた。
「冷たいほうがいいなら氷入れるけど、どうする?」
「いえ、このままもらいます」
クーラーが効いているし、なによりこのまま飲んだほうがおいしそうだった。
「じゃ、適当にしていていいから。風呂、入ってくる」
新野さんはそういうとリビングから出て行った。