クールな社長の耽溺ジェラシー
「あ、そういえばさっき構造部から連絡あってさ、今日の打ち合わせキャンセルって。クライアントの都合が悪くなったらしいよ」
「えっ……! わ、わかりました」
あとで新野さんに連絡しよう。
コクリとうなずくと広瀬さんが顔を覗き込んできた。大きな瞳がいたずらな色を浮かべていて、いやな予感に胸が跳ねる。
「……なんですか?」
「こなっちゃん、今日ってデートの予定でも入ってるの? やたらきれいじゃん」
「ち、違いますよ。今日内勤ばかりだからたまたま……」
「ホントにぃ?」
あいかわらず至近距離でうかがってくる広瀬さんから、イスを動かして距離を取った。
近くにいると些細なことから変に勘ぐられそうだ。
「う……ま、まぁ、新野さんとご飯行く予定はありますけど」
「えっ、またご飯!? 仲いいね、もしかして付き合って……」
「ませんっ!」
事実なのにその答えに胸がチクリと痛んだ。……なにこれ。
「そんな勢いよく否定しなくても。……けど、いい感じってことでしょ? これからかー、そっか」
なにに納得したのか、やっと離れてくれた広瀬さんは何度かうなずいていた。
「なんでいい感じになるんですか」
「そりゃあ、打ち合わせがキャンセルって言ったとき、こなっちゃん、“早く会える嬉しい!”って顔してたから」
広瀬さんは口角をにやりとあげると、ピアノでも弾くかのようにパソコンのキーボードを打ちはじめる。私をからかって楽しそうだ。