クールな社長の耽溺ジェラシー
「べ、べつにそんな風に思ってませんよ。待たせなくていいんだ……ってホッとしただけです」
「はいはい」
「適当にあしらわないでください!」
完全に勘違いされた。……勘違い、でもないかもしれないけれど。
これ以上言い返していると余計に怪しまれそうなので、悔しいけれど口を閉じた。
なんでこんなに新野さんのことで動揺しなくちゃいけないのか。
仕事に集中しなくちゃいけないのに、頭の中が新野さんでいっぱいになっている。
おかしい……いままでは仕事ばかりで、ただ正司さんを目指していただけだったのに。
広瀬さんの斜め向かいにいる正司さんに視線を向ける。真剣な眼差しで、時折難しそうに眉根を寄せながら仕事をしていた。
……もし、新野さんが閂建設に残っていたら、あの席に座っていたかもしれないんだ。
正司さんの姿が一瞬、新野さんの姿に変わる。だけど、私の視線に気づいた正司さんがふとこちらを見てきたので、すぐに妄想した新野さんは消え去った。
なんでさっきから新野さんのことばっかり考えてるんだろう。
正司さんに気まずさいっぱいの会釈だけしてパソコンに向き直ると、頭を左右に振った。背筋を伸ばし、やるべきことだけを考える。
思考から無理やり新野さんのことを追いだすことに専念した。