クールな社長の耽溺ジェラシー


昼休みに早く帰れることを連絡すると、新野さんは予約の時間も変更してくれた。

定時になって会社を出ると、外は夜に向かう手前の薄暗さで、街灯がなくても歩いている人の顔が見られるくらいだった。

久々にこんなに早く帰ることができた嬉しさと、ちょっとほかの嬉しさも抱えながら歩きだす。

予約しているお店が閂建設の近くなので、最寄り駅で待ち合わせをしていた。

慣れないヒールは歩きづらく、思ったよりも時間がかかって待ち合わせ場所へ到着すると、新野さんはすでに立っていた。

なかなか見かけない端正な顔立ちにしっかりとしたスタイルは、なにもしていないのに人目を惹きつけ、いたってシンプルな服装でさえハイブランドのものに見える。

忙しそうに歩いているOLも、学校帰りの学生も、新野さんにちらりと視線を送っては通り過ぎていった。

あの隣にいまから自分が並ぶのか。そう思うと優越感よりも気が引けたけれど、勇気をだして近づいた。

「すみません、お待たせしました」
「ああ、お疲れ。そんなに待ってないから気にしなくていい」

新野さんは本当に気にしてない様子で頬をほころばせた。私も笑顔を返そうとしたけれど、広瀬さんから言われた言葉が浮かんで頬が急に固くなった。


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