クールな社長の耽溺ジェラシー
あんまり笑顔でいると、嬉しいことがバレてしまう。もしかしたら、自分でも目をそらしている新野さんへの気持ちも……。
「じゃ、行くか」
「はい」
歩きだした新野さんの隣へ並び、唇をきゅっと結ぶ。
口を開けば自分の気持ちが漏れ出てしまいそうで、会話もせずに歩いていると、新野さんが不思議そうに顔を覗き込んできた。
「小夏、なにかあったのか?」
「ないですよ、なにも」
真顔をキープしていたつもりだったけど、まさか広瀬さんみたいに勘づかれたのか。
「そうか? さっきから難しそうな顔してるけどな」
新野さんは怪訝な顔で人差し指を伸ばしてくると、眉間をつんと突いてきた。
「えっ、わ……ちょっと……!」
「……もっと変な顔になった」
動揺を悟られないようにさっきよりも眉間と口元に力を入れると、新野さんは「今日の小夏はおかしいな」とため息をついてしまった。
人の顔でそんなにがっかりしないでほしい。そもそも変にしているのは新野さんなのに。
そんな気持ちも知られたくなくて、額をさするふりをしてうつむいた。