クールな社長の耽溺ジェラシー


しばらくしてたどり着いたのは完成したときに話題になった商業ビルだった。

インポートショップや高級な食材を使った中華料理店などが入っているところで、最上階のフレンチのレストランからは夜空と間違えそうなほどの夜景が見えるとメディアでよく取りあげられていた。

まさにその最上階のレストランに、いま連れて来てもらっている。

「ここの照明を新野さんがしたんですか? すごい……」

息を漏らして、店内を見渡す。細やかに配光された店内は、夜景を邪魔しないどころか、夜景と一緒に高級なレストランをさらにワンランク上へと押しあげていた。

窓際の席へ案内されると、地上と夜空が逆転したんじゃないかと錯覚しそうなほど美しい夜景が目に飛び込んできた。

夢中で見下ろしていると、向かいに座った新野さんが軽く笑う。

「やっと笑った」
「え? そ、そうですか?」

頬に軽く触れる。いつもより熱を持っていて、赤くなって新野さんに伝わっていないか少し心配になった。

「さっきからずっと笑わないし、妙に固いから心配してたんだが……大丈夫そうだな」

そう言ってシャンパングラスに手を伸ばし、慣れた手つきで口へ運ぶ。新野さんも夜景と同じくらいまぶしく感じて落ち着かない。

「すみません、本当になんでもないんです」
「なら、いい」

端的な答えはそれ以上求めてこなくて、ホッとした。


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