クールな社長の耽溺ジェラシー
運ばれてきた料理はどれもおいしくて、お酒もたくさん飲んでしまった。店から出ると、新野さんにきちんと向き合って頭を下げた。
「新野さん、ごちそうさまでした。すごくおいしかったです」
顔をあげると、もう自分の笑顔から気持ちがだだ漏れになることも忘れて、めいっぱい笑いかける。むしろお礼の気持ちなら、伝わったほうがいい。
「ああ、うまかったな。小夏のいい顔も見られてよかった」
私に手を伸ばし、横髪をすいていく。頬をかすめる優しい手つきに胸が高鳴った。
「そ、そういうの……やめてください。どういう反応していいのか、わかりません」
「どうもしなくていい。俺が触りたいだけだから」
じっと見つめ、顔を寄せられる。魔法をかけられたように、ただ新野さんの黒い瞳を見つめ返した。
「小夏、俺と……」
新野さんがなにか言葉を続けようとしたとき。
「……あ、さきに入っていてもらえますか?」
ひとりのドレスアップした女性が私と新野さんを見て、一緒にいた男性に声をかける。ふたりは同じ階にあるバーに入ろうとしていた。
女性は仕立てのいいスーツを着た男性から離れると、私たちのそばへやって来た。
レースがあしらわれたタイトなワインレッドのワンピースに、折れそうなほど細く高いヒールのパンプスを履いている。