season
「え?夏海ここにいるの?暗くなってきたけど大丈夫?」
そろそろ帰ろうかと言った二人に対して、私が首を横に振ると、菜々子は驚いたような声でそう言った。
「大丈夫だよ、家すぐそこだし。」
私がそう言うと、ブランコに乗っていた大貴がすくっと立ち上がった。
「ま、引きこもりの夏海が外に居たいっつーならいいんじゃね?」
「そういうこと。ありがとね、二人とも。」
ヒラヒラと手を振ると、観念したように立ち上がった菜々子。
「不審者に気をつけてね。早く帰るんだよ!」
「わかったわかった。」
「じゃあな、夏海!」
「またね。」
短い会話を交わし、ベンチに座ったまま二人を見送る。
そして、そのまま夜空を見上げた。
夜空は、何の汚れもなく綺麗に輝いている。
私は、何のために生まれて、何のために生きているの?
そう、夜空に問いかけた時だった。
…プルル…………
どこからともなく聞こえてきた、スマホの呼び出し音。
ふとベンチの下を覗くと、スマホが落ちていた。