バイバイ☆ダーリン 恋心編  番外編完結しました
それから1ヵ月程が過ぎ、あの雑誌記者は来なくなったが、最近他の御曹司の愛憎劇を取材しているらしいから、もう興味はそちらに向かったのだろう。

優花もひと安心で、ホッとため息ひとつ。

それを見ていた太田が、今度ドライブに海まで行かないかと誘って来たのだ。

この数ヵ月で、太田の優しさや教師としての彼に触れて、人間として尊敬出来る男性(ひと)だとは感じている。

そしてやっと、自分は彼に好意を持っていると、優花が自覚し始めたところである。

しかし、過去に犯した悪事のせいで、教師などと言ういわゆる聖職者のような人間を好きになっても良いのかなどと、好意を抱くことすら憚られていたのだ。

でもそこは出来る男、太田は、強引でも何でも、当日は引っ張ってでも、連れて行こうと決めているのだ。

それに、予め優花の母にデートに誘うと、断りを入れていて、太田は本当にやるときゃやる男性(おとこ)なのだから。

勿論、優花の戸惑いにだって気が付いている。

こうして徐々に懐柔されていく優花の心と向き合いながら、二人の交際は、学校の同僚に見守られてスタートした。

そう言えば、理人と太田の見た目は真逆で、誰が見てもイケメンだった理人を好きだった優花が、優しいけれども、言わば普通の日本人を好きになるなど誰が考えただろうか。

これからこの二人がどのようになっていくのかは分からないけれど、優花の心の闇を理解出来る優しい男性に出会えたことは、彼女にとって幸運なことだったとだけ言っておこう。
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