バイバイ☆ダーリン 恋心編 番外編完結しました

『あ、いいや。そうじゃないんだ。花音、お前に話しておきたいことがあるんだが…』

そう言うと桜子に目配せして、花音ちゃんこっちへと、桜子が花音をゆったりした座り心地の良いソファへ座らせる。

『花音、今日は大変だったな。想像していたこととは言え、凄まじかった』

花音は本当ねと呟いて、悠輝に笑いかけた｡

『ところで、今日あの二人の話の他に、何か噂話を聞いたか？』

真剣に尋ねてくる悠輝の表情から、何か大切な話なのだろうと察しがついた。

『お兄ちゃん何か話があるんでしょう？私なら大丈夫だから、話して欲しいの』

そうかと悠輝が言って、やっと話し始めた。

『実はな、理人の噂話が学内で広まっているんだ。それも、カノジョと金で雇った手下を使って、許婚のお前の殺害を企てたって…』

『…』

花音は絶句してしまった｡

『まだ続きがあって、それに失敗して、仲間割れした後、理人がカノジョを警察に突き出したんだと言うんだ』

全く酷い話だなと、悠輝はお茶を一口飲む。

《優花は本当に、私を殺してしまいたいくらいに憎かったのかも…理人君のこと、好きだったんだね、きっと》

花音は理人と優花がまた別の出会いをしていたらと、胸が苦しくなった。

そして、自分の理人への叶わぬ恋に胸を焦がしてきた時間を思い出して、切なくて堪らなくなる。

『あっ、そう言えば、理人君はどうしてるの？』

花音は泣きそうな思いを隠すため、兄に聞いてみた｡