お見合いだけど、恋することからはじめよう
するとそのとき、スマホを耳にあてた男の人が、あたしたちのいる入り口にやってきた。
たぶん笑うと人懐っこい顔になりそうな、王子さま系のイケメンなのだろうが。
……今は深〜いシワが眉間に刻まれていた。
「……いや、香里、違うから。誤解だって。
会社で同じ大学出身の後輩たちと呑みに来てるだけだよ。お腹の中におれとの赤ちゃんがいるきみを置いて、合コンになんか来るわけないだろ?」
すれ違いざま、彼はスマホに向かって必死の形相で説明していた。
……奥さま、ダンナさんは大丈夫ですよ。
スマホを持った彼の左手薬指には、ちゃんとシンプルなリングが光っていたから。