お見合いだけど、恋することからはじめよう
あたしは、お見合いになりそうな相手が、父の部下のT大卒の金融庁のキャリア官僚だということを言った。
「……そんな頭のいい人と話が合うかなぁ。
あたし、大学は指定校推薦だったんで、小論と面接だけで早々と合格もらって、勉強なんて実質、中学入試のとき以来してないんです。
うちの姉がキャリア官僚で、その人とは同期っていうから、姉と結婚した方が話が合うんじゃないか、って思うんですけどねぇ」
「でも、七海、相手は官僚よっ。超優良物件じゃないっ!」
大橋さんが身悶えながら叫んだ。
……な、七海?
あたしは固まった。
「彩乃だって、そう思うでしょ?」
……あ、彩乃?
朝比奈さんも固まった。
……大橋さん、わたしたち、いつからそんな距離感になりましたっけ?