お見合いだけど、恋することからはじめよう

「……あっ、そうそう。
この前、同期で呑みに行ったとき、法務部の友人が言ってたんですけど」

さらに、彩乃さんの気分を盛り上げて差し上げよう。

「島村室長のこと、なんですけど……」

すると、なぜか彩乃さんの顔が歪んだ気がした。

……あれっ、間違えた?

「なによ、なによっ。早く言いなさいよっ!」

突然言い淀んだあたしに、誓子さんが身を乗り出してせっつく。

……仕方ない。ここまで言ったからには。

「えっと……絶対に、だれにも言わないでくださいね?」

まぁ、この一言のエクスキューズが、ナイショ話をいつの間にか「周知の事実」にさせていくのだけれども。

そして、あたしは友佳から聞いた、法務部での島村室長と進藤 光彩(ありさ)弁護士との血も凍る、極寒地仕様のブリザード対決を洗いざらいぶちまけた。

おまけに、二人が大学時代カレカノで、その別れた経緯(いきさつ)も。


……すみません、島村室長。

< 247 / 530 >

この作品をシェア

pagetop