お見合いだけど、恋することからはじめよう
「……あっ、そうそう。
この前、同期で呑みに行ったとき、法務部の友人が言ってたんですけど」
さらに、彩乃さんの気分を盛り上げて差し上げよう。
「島村室長のこと、なんですけど……」
すると、なぜか彩乃さんの顔が歪んだ気がした。
……あれっ、間違えた?
「なによ、なによっ。早く言いなさいよっ!」
突然言い淀んだあたしに、誓子さんが身を乗り出してせっつく。
……仕方ない。ここまで言ったからには。
「えっと……絶対に、だれにも言わないでくださいね?」
まぁ、この一言のエクスキューズが、ナイショ話をいつの間にか「周知の事実」にさせていくのだけれども。
そして、あたしは友佳から聞いた、法務部での島村室長と進藤 光彩弁護士との血も凍る、極寒地仕様のブリザード対決を洗いざらいぶちまけた。
おまけに、二人が大学時代カレカノで、その別れた経緯も。
……すみません、島村室長。