お見合いだけど、恋することからはじめよう

あたしは同じ会社の人がいないかどうか、辺りをきょろきょろした。

こんなところで「ワケあり」の赤木さんといるなんて、絶対に見られるわけにはいかない。

本当は個室がよかったけれど、さすがに予約もせずにたった二人で使わせてはくれないので、せめて奥の端の目立たないテーブルに着いた。


「……七海がまたおれのLINE消したからさ。
おまえが社屋から出てくるの、ずっと待ってた」

ハイスツールに腰かけた赤木さんがそう言って、あたしをじっと見つめる。

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