カラダから、はじまる。
父はそうぼそりと告げると、気怠そうにヘッドレストに頭を預けた。
「あのう……車、出していいですか?」
運転手から声がかかった。
「あっ、赤坂見附までお願いします」
母が弾かれたように答えた。
そのあと、ドアが閉まってタクシーが発車した。
わたしは一人エントランスに佇んで、両親を見送りながら思った。
麻琴ちゃん……やっぱりわたしは、うちの親からせっつかれたりしなかったよ。
それに、そもそもわたしには……
結婚する人なんか、影も形もないけどね。