カラダから、はじまる。
「ねぇ、七瀬さん……僕の名前、知ってる?」
高木がわたしの顔を覗き込むように訊く。
「えっと……『真澄』……くん?」
なんとなく、呼び捨てにするのは気が引けたので「くん」を付けてみた。
「……………」
彼がいきなり無言になった。
「……真澄くん?」
もう一度、呼んでみた。
「……………」
なのに、無言のままだ。
「ちょっとぉ、名前を呼ばせておいて返事しないのって、ひどくない?」
わたしは口を尖らせて、文句を言った。
すると、彼の目が一瞬見開かれたかと思うと、その顔が急降下してきて、尖らせたわたしのくちびるを啄んだ。
「あなたが『反則』なことばかりするから、もう僕の我慢も限界だ。それに、賢いくせにとんでもなくバカな七瀬さんが、絶対に素直に言うわけないことも、よくわかった」
……え?
「だから、もう僕らは心が通じたんだと見做して……キスすることにする」
なぜか苦り切った顔で彼はそう宣言すると、ふわりと開いたわたしのくちびるの隙間に、自分の舌を捻じ込んできた。
そういえば、わたしたちのカラダはずーっとつながっているのに、キスだけはまだしていなかった。
……って、それよりもっ。
また、わたしのこと、いきなりディスったわね⁉︎