その身体に触れたら、負け ~いじわる貴公子は一途な婚約者~ *10/26番外編
「『謝りたいことがある』とおっしゃっていたの。きっと殿下とのことだったんだと思うわ。だから謝ることじゃないですよとお伝えしたいの。申し訳なく思って欲しくない。だってそうでないと……、殿下にも失礼だわ」

 曇りのない心で祝うことはまだできなくても、せめてそれくらいはしなければ。
 リリアナがますます顔を歪め、オリヴィアの手を痛いほどの力で取った。

「オリヴィアは何も悪くないのに、幸せになれないなんて間違ってる……!」
「やだ、待ってリリアナ。私の幸せは、私が決めるものだわ。……それが求めたものと違うだけ。今の私はおじ様たちの娘で、この家のために私にできることがあるんだもの。それにここから別の幸せが始まらないとも限らないわ。だからお願い、私の結婚も祝って?」

 今は虚勢でも、せめて姿勢は正していたい。そしていつかは彼の幸せを心から祝えるようになりたい。暗闇をもがき続けて、ようやくそう思えるようになったところなのだ。
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