その身体に触れたら、負け ~いじわる貴公子は一途な婚約者~ *10/26番外編
彼女が好きだと言った領地を、そして最愛の家族を彼女の元に返す。
そのためには、誰よりもフリークスの領地とリデリアの動向に詳しい彼の力が必要だ。
ラッセルのしたことは決してなかったことにはならないが、彼のしたことが別の犯罪の抑止に繋がっていたこともまた事実である。そしてその犯罪については、彼がいなければ今後さらに拡大するおそれがあった。
「サイラスを呼んでくれ」
フレッドが背後の兵士に合図をすると牢の扉が開いた。待機していたサイラスが軽やかな足取りで挨拶した。
「直接お話するのはこれが初めてですね。僕は父よりは融通が利きますよ」
「ほう、君が。オリヴィアを君と結婚させたいと思ったときもあったよ」
「ラッセル殿、どうかそれ以上はご遠慮ください。僕がフレッドに殺されてしまいますので」
サイラスがちらとフレッドを見て忍び笑いをする。フレッドはこめかみをひくつかせて、話を切り替えた。
「ここからは、宰相補佐官としてのお願いです。フリークスの兵を、貴方に動かしてもらいたい」
三人はそれぞれに思うところを含んだ目で、相手を見すえた。
そのためには、誰よりもフリークスの領地とリデリアの動向に詳しい彼の力が必要だ。
ラッセルのしたことは決してなかったことにはならないが、彼のしたことが別の犯罪の抑止に繋がっていたこともまた事実である。そしてその犯罪については、彼がいなければ今後さらに拡大するおそれがあった。
「サイラスを呼んでくれ」
フレッドが背後の兵士に合図をすると牢の扉が開いた。待機していたサイラスが軽やかな足取りで挨拶した。
「直接お話するのはこれが初めてですね。僕は父よりは融通が利きますよ」
「ほう、君が。オリヴィアを君と結婚させたいと思ったときもあったよ」
「ラッセル殿、どうかそれ以上はご遠慮ください。僕がフレッドに殺されてしまいますので」
サイラスがちらとフレッドを見て忍び笑いをする。フレッドはこめかみをひくつかせて、話を切り替えた。
「ここからは、宰相補佐官としてのお願いです。フリークスの兵を、貴方に動かしてもらいたい」
三人はそれぞれに思うところを含んだ目で、相手を見すえた。