その身体に触れたら、負け ~いじわる貴公子は一途な婚約者~ *10/26番外編
軍の機密に関わる罪を犯した者や、その者自身が軍と関わりのある者については、一般の牢とは異なり軍本部で取り調べを受ける。ラッセルもそのためにあの地下牢に捕らえられたわけだが、何とも薄暗く気味の悪い場所だった。
待遇改善を試みなければならないと心に留め置き、フレッドは冷気が浸み出してきそうな地下の廊下を抜けて、階段を昇る。無意識のうちに息をついた。
「ラッセル卿の目的は、お前の予想通りだったか?」
同じくほっとした様子のサイラスに「ああ」と短く答え、階段を昇りきったところで兵士らと別れる。
「オリヴィアには……」
「言うつもりはないよ。君も、彼女の耳に入らないように注意してくれ」
そのまま国王軍の司令本部を抜け、外に出る。栗鼠が芝生を横切った。十月も終わりの空は、地下で感じた薄ら寒さが嘘のようにからりと気持ちの良い天気だ。
「麻薬のことも?」
「もちろん。物騒だろう、彼女にはその言葉も近づけるな」
待遇改善を試みなければならないと心に留め置き、フレッドは冷気が浸み出してきそうな地下の廊下を抜けて、階段を昇る。無意識のうちに息をついた。
「ラッセル卿の目的は、お前の予想通りだったか?」
同じくほっとした様子のサイラスに「ああ」と短く答え、階段を昇りきったところで兵士らと別れる。
「オリヴィアには……」
「言うつもりはないよ。君も、彼女の耳に入らないように注意してくれ」
そのまま国王軍の司令本部を抜け、外に出る。栗鼠が芝生を横切った。十月も終わりの空は、地下で感じた薄ら寒さが嘘のようにからりと気持ちの良い天気だ。
「麻薬のことも?」
「もちろん。物騒だろう、彼女にはその言葉も近づけるな」