その身体に触れたら、負け ~いじわる貴公子は一途な婚約者~ *10/26番外編
オリヴィアは、頭に挿した白薔薇にそっと手を添える。
「あれでしょ、密輸組織の件よね? サイラスから聞いたわ。フリークス領内で取り押さえたんですってね」
そうなのだ。半月ほど前の、ちょうどユナイ川が雪解け水をたたえて増水した時期に、リデリアからの密入国者が捕らえられた。
その密入国者は不法に麻薬を所持しており、取り調べの結果、麻薬の大規模な密輸組織の摘発に繋がったのだという。
どうやら、国王軍の内部に密輸組織との内通者がいたらしい。そのため摘発の際には国王軍とは異なる協力者のもとで兵を動かしたとか、麻薬はすでに貴族の一部にも売りさばかれていたとかで、世間を大いに騒がせる一大事件となった。
「ええ、フレッド様も摘発には立ち会われたとか」
彼の仕事が落ち着いたら、詳しい顛末を尋ねようと思っていた。何しろ、今は領地ではないとはいえフリークス領で起きた事件だ。領民の安全も気になるし、隣国との関係に響く捕り物を、国王軍なしで彼がどのように差配したのかも気になる。その摘発に貢献した人物も。
「サイラスが言ってたわよ。その組織から麻薬を購入した貴族たちも、軒並み捕らえられたんですって! その麻薬っていうのは、貴族のあいだでは媚薬と称して出回っていたみたいよ」
二人は使用人らが挙式後のガーデンパーティーの準備をする脇を通り過ぎる。
「あれでしょ、密輸組織の件よね? サイラスから聞いたわ。フリークス領内で取り押さえたんですってね」
そうなのだ。半月ほど前の、ちょうどユナイ川が雪解け水をたたえて増水した時期に、リデリアからの密入国者が捕らえられた。
その密入国者は不法に麻薬を所持しており、取り調べの結果、麻薬の大規模な密輸組織の摘発に繋がったのだという。
どうやら、国王軍の内部に密輸組織との内通者がいたらしい。そのため摘発の際には国王軍とは異なる協力者のもとで兵を動かしたとか、麻薬はすでに貴族の一部にも売りさばかれていたとかで、世間を大いに騒がせる一大事件となった。
「ええ、フレッド様も摘発には立ち会われたとか」
彼の仕事が落ち着いたら、詳しい顛末を尋ねようと思っていた。何しろ、今は領地ではないとはいえフリークス領で起きた事件だ。領民の安全も気になるし、隣国との関係に響く捕り物を、国王軍なしで彼がどのように差配したのかも気になる。その摘発に貢献した人物も。
「サイラスが言ってたわよ。その組織から麻薬を購入した貴族たちも、軒並み捕らえられたんですって! その麻薬っていうのは、貴族のあいだでは媚薬と称して出回っていたみたいよ」
二人は使用人らが挙式後のガーデンパーティーの準備をする脇を通り過ぎる。