触って、抱いて、もっと愛して。臆病な令嬢は貴公子の一途な熱情に蕩かされました(原題「その身体に触れたら、負け」)
「それに関しては謝る。事情もわからないし、成り行きを見守っていたのは事実だ。詳しい会話の中身までは聞こえなかったが」
「イリストア卿がいらして、もしかしてオリヴィア様がフレッド様に隠れて卿と会われているのではと疑ってしまったのよ。でも揉めているようだったから、貴方を呼びに行こうとしたら」
「今度は別の足音が聞こえてきた、と。愛を語るどころじゃない。これはまずいと思っていたら彼女があんな目に遭って」
「でも貴方だったから胸を撫で下ろしたのよ。ちょっと遅かったと思うけど」
最後にチクリと棘を刺すと、リリアナが普段は勝気な言葉を紡ぐ唇を震わせた。
「どんなにか怖い思いをされたことでしょう……あんなこと、淑女にすることではございませんわ! フレッド様が殴ってくださって、いい気味だわ」
「お前たちが去った後に、俺たちもイリストア卿を脅しておいた。それに俺たち以外にあれを見ていたやつはいないから、安心しろ。彼女、毅然としていて格好良かったぞ。『フレッド様を侮辱するのは、私が赦しません!』てな」
「オリヴィア様はフレッド様を大事に思っていらっしゃるのね」
「おいおい、フレッド。なに赤くなってんだ」
フレッドは拳を口もとに当ててもごもごと返した。
「いや、……ちょっと意外で」
「オリヴィア様は前からしっかりしている方でしてよ?」
「意外っていうのはそうじゃなくて、……いや、それより」
脳裏に、すがるようにコートの裾をつかんだオリヴィアの姿が浮かぶ。恐怖心は相当なものだっただろう。それでも彼女は気丈に振る舞っていたのか。
「イリストア卿がいらして、もしかしてオリヴィア様がフレッド様に隠れて卿と会われているのではと疑ってしまったのよ。でも揉めているようだったから、貴方を呼びに行こうとしたら」
「今度は別の足音が聞こえてきた、と。愛を語るどころじゃない。これはまずいと思っていたら彼女があんな目に遭って」
「でも貴方だったから胸を撫で下ろしたのよ。ちょっと遅かったと思うけど」
最後にチクリと棘を刺すと、リリアナが普段は勝気な言葉を紡ぐ唇を震わせた。
「どんなにか怖い思いをされたことでしょう……あんなこと、淑女にすることではございませんわ! フレッド様が殴ってくださって、いい気味だわ」
「お前たちが去った後に、俺たちもイリストア卿を脅しておいた。それに俺たち以外にあれを見ていたやつはいないから、安心しろ。彼女、毅然としていて格好良かったぞ。『フレッド様を侮辱するのは、私が赦しません!』てな」
「オリヴィア様はフレッド様を大事に思っていらっしゃるのね」
「おいおい、フレッド。なに赤くなってんだ」
フレッドは拳を口もとに当ててもごもごと返した。
「いや、……ちょっと意外で」
「オリヴィア様は前からしっかりしている方でしてよ?」
「意外っていうのはそうじゃなくて、……いや、それより」
脳裏に、すがるようにコートの裾をつかんだオリヴィアの姿が浮かぶ。恐怖心は相当なものだっただろう。それでも彼女は気丈に振る舞っていたのか。