触って、抱いて、もっと愛して。臆病な令嬢は貴公子の一途な熱情に蕩かされました(原題「その身体に触れたら、負け」)
「サイラス・コーンウェルです。お会いしたことはなかったかな? それにしてもお美しい人だ。神秘的な瞳をしていらっしゃる。フレッドが夢中になるのもわかるな」
「サイラス」
あまり容姿には触れて欲しくない。フレッドが隣で憮然とした声を上げると、さらに恐縮してしまい、オリヴィアはそそくさと話題を変えた。収穫祭の日に水と濡れタオルを差し入れてくれたのが彼であることに思い至ったのである。
「先日は、サイラス様にもお気遣いをいただき、ありがとうございました」
「あれ? フレッドが言ったのかな?」
「いえ、女官の方でしょうか、フレッド様とお話しされているのが聞こえましたので」
「ああ、そうか。そりゃあもう、美しい女性のためなら大したことではありませんよ」
「お世辞がお上手ですね。フレッド様には良くしていただいております。お二人も婚約者同士だとか」
サイラスが一瞬、今にも噴きだしそうな顔をする。オリヴィアが首を傾げると、彼は笑いを引っ込めて隣の令嬢の背に軽く手を添えた。
「ええ、婚約者で幼馴染なんですよ。リリアナ」
リリアナ・ブライスと名乗った婚約者は侯爵令嬢だ。頬の辺りに少しそばかすがあって、それが彼女のチャームポイントになっている。カーネリアンを思わせる色をした意思の強そうな瞳と、黄味がかったブラウンの髪。全体的にコケティッシュな印象だ。
「サイラスとはくされ縁なんですの。今日は私もオリヴィア様とお話させていただくのを楽しみにしていたんですよ」
「サイラス」
あまり容姿には触れて欲しくない。フレッドが隣で憮然とした声を上げると、さらに恐縮してしまい、オリヴィアはそそくさと話題を変えた。収穫祭の日に水と濡れタオルを差し入れてくれたのが彼であることに思い至ったのである。
「先日は、サイラス様にもお気遣いをいただき、ありがとうございました」
「あれ? フレッドが言ったのかな?」
「いえ、女官の方でしょうか、フレッド様とお話しされているのが聞こえましたので」
「ああ、そうか。そりゃあもう、美しい女性のためなら大したことではありませんよ」
「お世辞がお上手ですね。フレッド様には良くしていただいております。お二人も婚約者同士だとか」
サイラスが一瞬、今にも噴きだしそうな顔をする。オリヴィアが首を傾げると、彼は笑いを引っ込めて隣の令嬢の背に軽く手を添えた。
「ええ、婚約者で幼馴染なんですよ。リリアナ」
リリアナ・ブライスと名乗った婚約者は侯爵令嬢だ。頬の辺りに少しそばかすがあって、それが彼女のチャームポイントになっている。カーネリアンを思わせる色をした意思の強そうな瞳と、黄味がかったブラウンの髪。全体的にコケティッシュな印象だ。
「サイラスとはくされ縁なんですの。今日は私もオリヴィア様とお話させていただくのを楽しみにしていたんですよ」