無感情なイケメン社員を熱血系に変える方法
昼食を食べ、二人は海岸沿いを歩いた。ブレイブボードをする人やランニングをする人、3 on 3をする人などで賑わっていた。

「彩月がいなければサンフランシスコに来ることもなかったよ」

南国風の海岸を眺めて駿太郎が呟いた。

「家族と離れて寂しい?」

彩月が心配そうに駿太郎の顔を覗きこんだ。

「まさか、俺は彩月がいなければ頑張れないんだから」

駿太郎はギュッと彩月を抱き寄せた。

「あいつ,,,」

「えっ?」

「賢」

「賢がどうかした?」

「あいつに会えて嬉しい?」

駿太郎はマジマジと彩月を見つめた。

「賢と私はそういうんじゃないから」

彩月は笑っているが、賢が駿太郎に向ける目には敵意が感じられた。

駿太郎がそういうと

「本当?やばいな」

なぜか、慌てる彩月に動揺を隠せない。

「彩月は渡さない」

「私だって」

二人は見つめ合うと、チュッと唇を重ねるだけのキスをした。アメリカではキスは挨拶だ。駿太郎にとってはいつでも彩月にキスできて都合がいい。

真っ赤になって照れている彩月に微笑みながらも、兄だけでなく賢までもがライバルになるこの現状が少し不安だった。
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