無感情なイケメン社員を熱血系に変える方法
祖父母の家に戻ると、隣の家から賢が出てきた。

「賢、今日はありがとう!」

彩月が賢に駆け寄ると、駿太郎はあからさまに機嫌が悪そうな顔をした。

「買い物してきたか?」

賢が彩月の頭を撫でる。

駿太郎が二人の間に体を割り込ませると

「男のやきもちはみっともないぞ」

と駿太郎の腕をつかんで賢がニヤリと笑った。

「ちょっと!賢,,,」

「二人が別れるのは俺は大歓迎だけどね」

睨み付ける駿太郎をグッと引き寄せ、賢が駿太郎の唇に熱いキスをした。

「!!!」

驚いて賢をはねのける駿太郎と頭を抱える彩月、ニヤリと笑う賢。

目を見開いたまま彩月に視線で問いかける駿太郎に

「賢はゲイなの。彼氏もいるよ」

さすが自由の国アメリカ。駿太郎はその可愛らしい容貌からその筋の男性に声を掛けられることは多々あったが、キスまでされたのは初めてだ。

駿太郎は彼女も作らず、ファーストキスにこだわりがあったわけではなかったが、つくづくこれが初めてのキスでなくて良かった思った。

そして、彩月が賢の恋愛対象にならないことに安堵するとともに、自分にはゲイの素質がないこともわかってほっとした。

「彩月、僕はバイセクシャルだよ」

賢の言葉に駿太郎が固まる。

「彼女もいるから心配しないで。彩月みたいなお子さまには興味ない」

「ひどーい」

どこまでが本当かわからないが、彩月には手を出さないらしい。

「駿太郎は俺のドンピシャだからわかんないよ?」

「だめ!駿太郎は私の!」

彩月が賢の肩を思いきり叩いた。

「はいはい。お姫様の王子さまにはてを出しませんよ。困ったことがあったら電話して」

二人をからかって満足したのか、賢は手をヒラヒラと振りながら自宅に帰っていった。
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