一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~
「「おつかれさまでーす。」」
先ほどの陰口を聞かれていたとも知らずに、笑顔を向けて去って行った学生ちゃんたち。
10歳近く違う子たちと一緒に働くなんてこと、ちょっと前までは想像も出来なかった。
大学を卒業後、この書店に就職。
小さな頃から本が大好きで、出版社を志望していたけれど、ことごとく不採用。
職種は異なるけれど、本に関われる本屋で、正社員として採用してもらえたことは悪くないと思っている。
お給料は高くはないけれど、一人暮らしで貯金も出来ているので不満はない。
接客はたまにイライラすることもあるけれど、出版社の営業さんとも関わることができたり、売り場の陳列を考えたりと、やりがいのあることも多い。
ごく稀にだけど、地域のコミュニティー誌やフリーペーパーなんかに書評を依頼されることもあり、
’四省堂書店 佐々木さんオススメ!’
なんて写真付きで紹介されると少し誇らしく感じる。
そうこうするうちに、社会人7年目。
気づけば20代最後の年。
もしかしたら私は、来年も再来年も、
10年後も、こうしているんじゃないかと思う。
他人から見たら、こんな変化のない毎日は退屈で、価値のないものかもしれない。
それでも私は、この淡々とした日々が好きだ。
私が働く書店は都内に数店舗あり、オフィス街やショッピングセンターなど、それぞれで特徴も違い、
社員は数年おきに勤務店舗を移動している。
私が今務めているのは、百貨店に入っている店舗。
売り場面積はそんなに広くないけれど、客層年齢の幅が広いこともあり、全カテゴリーに力を入れる必要がある。
私の得意分野は文芸書だけど、そればかりに関わるわけにもいかない。
お昼休憩は百貨店の社員食堂で過ごす。
食堂はメニューも豊富だし、デパ地下でお惣菜を買うこともできるけど、
私はいつもお弁当を持参している。
今日もお弁当をつつきながら、2日前に発売した小説の新巻を読む。
大好きなシリーズで、発売日にざっと全部読んで、今は2巡目。
食べながら、なんてお行儀悪いけど
誰も私のことなんて見ていないから気にしない。
そして本に没頭する私は、
食堂の片隅のテレビに映るお昼のワイドショーでやっていた
豊沢財閥の新事業企業、TOYOSAWA DIZITALの社長に、
若き御曹司・豊沢 彬が就任するなんてニュース、知る由もなかった。
先ほどの陰口を聞かれていたとも知らずに、笑顔を向けて去って行った学生ちゃんたち。
10歳近く違う子たちと一緒に働くなんてこと、ちょっと前までは想像も出来なかった。
大学を卒業後、この書店に就職。
小さな頃から本が大好きで、出版社を志望していたけれど、ことごとく不採用。
職種は異なるけれど、本に関われる本屋で、正社員として採用してもらえたことは悪くないと思っている。
お給料は高くはないけれど、一人暮らしで貯金も出来ているので不満はない。
接客はたまにイライラすることもあるけれど、出版社の営業さんとも関わることができたり、売り場の陳列を考えたりと、やりがいのあることも多い。
ごく稀にだけど、地域のコミュニティー誌やフリーペーパーなんかに書評を依頼されることもあり、
’四省堂書店 佐々木さんオススメ!’
なんて写真付きで紹介されると少し誇らしく感じる。
そうこうするうちに、社会人7年目。
気づけば20代最後の年。
もしかしたら私は、来年も再来年も、
10年後も、こうしているんじゃないかと思う。
他人から見たら、こんな変化のない毎日は退屈で、価値のないものかもしれない。
それでも私は、この淡々とした日々が好きだ。
私が働く書店は都内に数店舗あり、オフィス街やショッピングセンターなど、それぞれで特徴も違い、
社員は数年おきに勤務店舗を移動している。
私が今務めているのは、百貨店に入っている店舗。
売り場面積はそんなに広くないけれど、客層年齢の幅が広いこともあり、全カテゴリーに力を入れる必要がある。
私の得意分野は文芸書だけど、そればかりに関わるわけにもいかない。
お昼休憩は百貨店の社員食堂で過ごす。
食堂はメニューも豊富だし、デパ地下でお惣菜を買うこともできるけど、
私はいつもお弁当を持参している。
今日もお弁当をつつきながら、2日前に発売した小説の新巻を読む。
大好きなシリーズで、発売日にざっと全部読んで、今は2巡目。
食べながら、なんてお行儀悪いけど
誰も私のことなんて見ていないから気にしない。
そして本に没頭する私は、
食堂の片隅のテレビに映るお昼のワイドショーでやっていた
豊沢財閥の新事業企業、TOYOSAWA DIZITALの社長に、
若き御曹司・豊沢 彬が就任するなんてニュース、知る由もなかった。