一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~
「お待たせー!」

梅雨も明けて、日差しが暑い。
彬くんは校門に背中を持たれかけて、文庫分を読んでいた。
私に気付いて顔をあげ、優しく微笑む。

「さぁーちゃん、いらっしゃい。
セーラー服似合うね。」

今日は彬くんの学校の学校祭。
おいでよ、って彬くんが誘ってくれて、チケットを用意してくれた。

良家のご子息・ご令嬢が通う名門私立高。
学校祭といえども警備はしっかりとしていて、チケットを持つ招待客しか入ることができない。

私服しか見たことがない彬くんのブレザーとネクタイ姿は、いつもより大人びて見える。

私は何を着て行こうか散々迷った挙句、結局制服で。
目が肥えている人たちの前で安っぽい服を着ているよりは浮かなくて済みそう、なんて安易な考えだったけど、
私服姿しか見たことがないお互いにとっては、ちょっと新鮮で気恥ずかしい。

今日ここへ来ることは、学校の友達には言っていない。
そんなこと話したら、
どうして!?チケットどこで手に入れたの?
知り合いがいるの!?どーいう?どこで知り合ったの!?
なんて大騒ぎになること間違いなしだから。
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