恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜

それぞれ母親が違うので、人に寄っては未だに皇太子の座を諦めていない者がいるとかいないとか。

自分が玉座に近づくため、邪魔な兄弟を順番に陥れようとすることは容易に想像できる。

しかし、それなら飛龍自身を襲えばいい。なぜ、罪なき妃を襲ったのか。

王府に帰って三日経つが、未だに皇城から下手人捕縛の報はない。

(これ以上何もなければいいが……)

考え込んでいても下手人は捕まらないし、謎は解けない。わかっていても、考えずにはいられない飛龍だった。

また腹が立つことに、鳴鈴自身は殺されかけたことを忘れたかのように、相変わらずのんびりと暮らしている。

先ほどは、誰に贈られたかもわからない菓子を見て、目を輝かせていた。きつく言ったから食べてはいないだろうけど、とにかく警戒心が薄すぎるのが鳴鈴の欠点だ。

(もう少し危機感を持ってもらえないものだろうか)

気分を変えようと、執務室の外に出て歩く。もう日が暮れかけていた。北にある星稜の王府は、今頃遅れて桃の花が咲いている。

園林を歩いていると、女性が背伸びをしているのが見えた。今日は桃の花と同じ色の裙を着ている鳴鈴だ。緑礼は一緒ではないらしい。

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