恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜

徐家は皇室ほど強大でなくとも、翠蝶徳妃の遠い親戚ということで、それなりの地位がある。

自分の領地を持たない皇子や、貴族の末弟など、いわゆるごくつぶしを婿に迎える家も、女児にしか恵まれなった家庭には少なくない。

次の結婚もしようと思えばできるだろう。しかし鳴鈴は勢いよく首を横に振る。

「嫌よ」

抱かれなくたって、受け入れてもらえなくたって、やっぱり飛龍が好きすぎて。

いくら大事にしてもらえても、他の男じゃ意味がない。

「意地を張るのはやめましょう」

「そんなんじゃないわ」

「じゃあ何なんですか。そんなに星稜王が好きなら、余計に悔しくないんですか。悲しくないんですか。辛い恋なんて捨てて幸せになりましょう。花の命は短いんですよ」

他人の目には鳴鈴は哀れで、可哀想で、辛いだけの恋をしているように見えるだろう。しかし彼女自身はそうは思っていなかった。

「たしかに辛いこともある。でもね、私は殿下をこんなに好きになれて良かったわ。彼と居るだけで幸せなの」

「彼のせいで泣いてばかりいるくせに?」

緑礼が目を細めて鳴鈴をにらむ。

「うん……そうね。私、泣いてばかりいる。でも、殿下を恨んで泣いたことはないの。殿下が好きだから泣くのよ」

< 128 / 249 >

この作品をシェア

pagetop