恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
そうして二の足を踏んでしまった挙句、第二の悲劇が起きてしまった。
雪花の父である武将が、皇城で宿鵬を切りつけてしまったのだ。
宿鵬の側近たちに取り押さえられた父親は、ひとまず牢に監禁された。
「お前が指図したんだろう」
侍医に手当てされた宿鵬が、横になったまま飛龍をにらみつける。
「俺から愛する女も、皇太子の地位も奪い、命まで取ろうというのか」
「何を言う。兄者が雪花を殺したからではないか! 父親に恨まれるのは当然だろう」
飛龍が金の指輪を投げつけると、宿鵬はにっと笑った。
「ははは。そうさ、殺してやったわ。あの女、犯してやろうと思ったが、抵抗して殴ってくるから。側近たちで締め上げてやった」
狂ったように笑いだした宿鵬の声は掠れていた。
「お前から一番大事なものを奪ってやろうと思ったのさ」
ぎりりと奥歯を噛みしめる飛龍。
何がいけなかった。愛する女性も、皇太子の地位も、自分が実力で手に入れたものだ。それなのに。
飛龍は冠を脱ぎ、床に叩き付けた。