恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜
「わかった! お亡くなりになったお母さまのものね。だからこんなに大事そうにしまってあるのだわ」
一生懸命自分を納得させる答えを出した鳴鈴は、大きな独り言でそれを現実にしようとする。けれど、ちっとも心は晴れない。
誰かが、これを飛龍に贈ったのかもしれない。傍にはいられないが、自分の分身として──。
根拠のない悪い想像ばかりが鳴鈴の頭の中に渦を巻く。
(殿下は、私の他に想う人がいるのかもしれない)
それは、一番考えたくないことだった。
なかなか本当の夫婦になってくれないのは、他に想う女性がいるから。
そんなこと、考えたくなくて。見えないふりをしていた。必死で考えないように、無意識のうちに努力していた。
しかし飛龍はもう二十九歳。それなのに一度も妃を迎えたことがない。
(結ばれない身分の人……例えば妓女を一途に愛しているとか……)
星稜の都にも花街はある。妓女と皇族の結婚は崔では禁止されており、いくら気に入っても妃として迎えることはできない。
根拠がないといくら自分に言い聞かせても、心はどんどんと深くに沈んでいく。
悲しい。辛い。
これから先、本当に飛龍に愛される時が来るのだろうか。
鳴鈴が軽く唇を噛んだ。そのとき。