あなたで溢れている

「で、こいつが前話したヘタレの修也君ね〜」

夏井の間延びした口調が今日は特にイラつく、

「あ、あの‼︎ いつから片思いしてるんスか?」

好奇心丸出しの大きな目、肩までのパーマ、なにか見たことがあるような…
あ、犬。
夏井家で飼っているポメラニアンに似ているんだ…とボーッと考えながらスルーしたのに、

「えっとね〜、2歳から」

と隣の夏井が答えた

「俺、耳タコだから〜」

とかじゃねぇし…

「夏井が答えてどうすんの?」

ポメ子横のベッタリグロスの子が笑った。

「じゃ、ほぼ20年‼︎ 片思いってことッスよね‼︎ うんうん、一途な人いいッスね‼︎ 大好物です」

とかうるせぇし。

「…なにメモってんの?」

とも思う

「カレシにプラスしたいこととか」

満面の笑みで答えられた。

「は?」

「私。三次元の男って嫌いなんでス。同人やってて、二次元カレシがいるんスけど、もうちょいこう病んでてもいいかなぁって思ってんッスよね〜」

「……」

訳のわかんない説明を受けて、思わず口が開いてしまった。
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