あなたで溢れている
「カレシです‼︎ ミル君って言います‼︎ ミルク味の飴を常に食べてるのでミル君なんッス」
ピンクの髪に同色の目のアニメ君をスマホで見させられた。
「…」
大丈夫なのか、この子。
「…カレシ…いるなら…合コンとかダメなんじゃね?」
とか言ってみる。
怖い。
本気?
この子本気なのか?
「ミル君がもっとステキになるように勉強しにきたんです。姫扱い、リアでいるよって夏井君に教えてもらって‼︎ すっごく楽しみにしてきたんッス‼︎ 色々質問させてくりゃ〜さい‼︎」
「…姫扱い…かは分からないんで…」
「んと〜、何ちゃんでしたっけ?香里奈ちゃん?英里奈ちゃん?って幼馴染みさんを大事なんスよね?とても大事にしてんッスよね?」
「英里奈です。大事にしてますが…姫扱いかはどうかは…」
「でた、呼び捨て‼︎ どんな子ッスか?写真ないんッスか?ありますよね?勿論ありますよね?幼馴染みで片思い中、コレは勿論ツーショットがあって然るべき‼︎ デフォッスよね‼︎」
口調もッスッスって、なんか怖いんですけど…
助けを求めて横を見たのに、見えない壁があるかのように俺を無視してる。
見せて見せて攻撃が凄くて…
仕方がないので俺はスマホのトップを見せた。
「可愛っ‼︎ ってかほっぺくっつつけての自撮り‼︎ カプじゃないっスか‼︎ 完璧カプっスよ‼︎ か〜。なんだコレ。いいなぁ〜。私もミル君としたいな〜、あ〜、マジ神‼︎」
「ちょっと静かに。座って‼︎」
「師匠と呼ばせて頂きます‼︎」
グイグイッとこられて、後ずさった。
「スゲ〜、修也懐かれたよ〜」
夏井の声がボソッと聞こえた。