あなたで溢れている
「やっぱり窓から窓で移動したりするっスか?」
「…イヤ…実家…三軒隣だから…」
夏井の腕をツンツンと摘むが、ベシッと剥がされた。
「あ〜。そうなんスね〜。ミル君は隣の部屋なんで窓から入ってもらって話したりしちゃったりスるですよ〜‼︎ ん。実家はってことは今は離れてんスか?まさか同棲‼︎ あ、でも、告れてないヘタレって聞いた気が…」
「…同棲じゃ、なくて…今は、実家でて…アパートの隣同士ってだげで…」
「1人暮しのお隣〜‼︎ マジッスか‼︎ それは憧れのスープの冷めない距離ッスね‼︎」
良く分からん。
「…朝夕一緒に食べてるし…スープが冷めるとか分からないけど…」
「ナント‼︎ ほぼ同棲じゃないっスか‼︎」
「いや同棲じゃないから」
ただの幼馴染みってだけだから…とはあまりにも哀しすぎて自分から宣言できなかった。
名前も覚えてないこのポメ子は、本当にキャンキャンとうるさい。