一途な御曹司に愛されすぎてます
 実は康平は、こういったスキンシップの類があまり好きじゃない。


『周りの目も気にしないで、白昼堂々と手を繋いだりする奴らの気が知れないよ。教育レベルの程度が知れる』


 そう言ってデート中に他のカップルが手を繋いでいたり、肩を寄せ合っていたりするのを見ると必ず顔をしかめる。


 私としては、そういうのちょっと憧れるんだけどな。

 だからこれまで何度かおねだりしては、こんな風に撃沈して康平の機嫌を損ねていた。

 今は夜だから目立たないし、周りにあんまり人もいないし、宿までの短い距離だからと思ったけど、やっぱりダメだったか。

 ちょっと甘えたい気分だったんだけど、恋人が嫌がっていることを無理強いするのは良くないよね。


「ごめんね、康平」

 私は謝りながら手をポケットの中に戻した。
 ほんの一瞬外に出しただけなのに、指先がひどく冷えてジンジン痛む。

「ほら、早く帰るぞ」

 足早に歩き出した康平の半歩後に、私も続いた。
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