一途な御曹司に愛されすぎてます
 ふわふわの綿菓子のような雪が天から降りて、私たちの頭と肩に積もっていく。

 康平の斜め後ろに一歩下がって雪道を踏みしめながら、黙々と宿に向かい、分厚い木製の門をくぐって宿に入った。

 康平が予約してくれた古民家風の宿は、この辺りで一番大きくて、情緒深い佇まいがとても魅力的な立派な宿だ。

 ちょうどロビーでは三味線の生演奏が披露されていて、宿泊客たちが思い思いの場所で演奏を楽しんでいる。


「ねえ、ちょっと聞いていこうよ」


 私は康平を誘って、広いロビーの隅の方にある籐椅子セットに座って耳を傾けた。

 ここの天上は太い桁と梁が剥き出しで、高い空間に純朴な音色が響き、ますます和風情緒を掻き立てる。


「なんていうか、すべてにおいて地味っていうか、暇だよなあ」


 銀杏形のバチが弦を弾く独特の音に聞き惚れていると、向かいに座っている康平がまた不満顔になった。
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