一途な御曹司に愛されすぎてます
「なぜ、そんなに信じられるんですか?」

 彼は自分の中に生まれた熱い感情に対して、微塵の疑問も躊躇も感じていない。

 たった一度触れた琴線だけを頼りに突き進むことが、怖くはないんだろうか?

 それを自分の運命と信じることに不安はないのだろうか?


 突き進んだ先に待ち受ける結末は誰にもわからない。

 思い込み。勇み足。早合点。軽はずみ。……世の中には、勢い余ってリスクを冒すことを戒める言葉が山ほどある。


 私は自分の感情にそこまで身を委ねることが怖いし、どうしても疑いを持ってしまう。

 だって、たしかな絆があると信じていた康平との関係はあんなにあっけなく崩れ去った。

 彼は一度私に会っただけで、たったひとつの言葉だけで、本当に運命だなんて信じられると言うのだろうか?

 そんな根拠の薄いことを本気で……。


「信じられますよ」


 いつの間にかグルグルと暗い思考の輪に嵌まり込んでいた私は、彼の言葉にハッと顔を上げた。

 目の前の彼は咲き誇る花々を背に、温かな目で悠然と微笑みながら言葉を続ける。

「あなたが好きだから」
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