一途な御曹司に愛されすぎてます
「実はこの先に教会があるんです。よろしければ見学なさいませんか?」


 気恥ずかしさを隠すように視線を泳がしていると、彼が誘ってくれた。


「教会があるんですか? 素敵ですね」


 敷地内に教会が建っていることは資料を読んで知っていたけれど、なんとなくこの場の照れ臭さを取り繕いたくて、さも初めて聞いたふうを装う。


「教会ではイースターや収穫感謝祭や、クリスマスイベントを企画しています。もちろん結婚式も挙げられますよ」


 彼は軽く身を屈めて私の耳元に顔を寄せ、低く耳触りの良い声でそっと囁いた。


「ぜひご案内させてください。永遠の愛を誓い合うに相応しい神聖なあの祭壇に、私も矢島様と一緒に立ちたいですから……」


 彼の唇から吐かれた言葉が私の耳朶をくすぐり、ピクンと体が反応した。

 いかにも意味深なセリフを熱い息と共に囁かれて、ただでさえ赤い顔がますます熱くなる。
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