一途な御曹司に愛されすぎてます
 そんなエロティックな仕草を見せつけられて、カッと頭に血がのぼって頬が火照る。

 この人、明らかに私を挑発して楽しんでいる。それがわかっているのにどうしても目が離せない。

 まんまと動揺させられている私を見た彼は、『してやったり』と言わんばかりに目を細めた。

 その得意気な表情に、私はますます顔を赤らめながら唇を強く噛む。


 このままじゃまずい。古城ホテルでも結局すべて彼の思うがままだったし、また彼に都合よく話が進んでしまいそうだ。

 私は意を決して静かに息を吸い込み、口を開いた。


「やっぱり私、お食事はご遠慮します。こんな恰好ですから」


 会社帰りの私の服装は、薄いグレーのブラウスと無地の紺のタイトスカート。

 決してだらしないファッションではないけれど、ホテルのディナーのドレスコードに相応しい恰好かといえば、微妙だ。


 マナーに関する言い訳なら、彼だってホテル側の人間としてとして無視できないだろう。

 これなら彼の面子を保ったまま誘いを断れる。

 なかなか上出来な言い分だと悦に入っていたら、彼はあっさり退けた。
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