一途な御曹司に愛されすぎてます
 視界の効かない空間をふわふわした足取りで進んでいるうちに、感覚が敏感になってくる。

 閉じた目蓋を透かす光や、小枝を踏む感触がすごく新鮮。

 私の手を包み込む彼の体温が気持ちよくて、なにも見えないのに不思議なくらい安心できる。

 ずっとこうして歩いていたいな……。


「さあ、着いた。目を開けて」


 とつぜん彼の声が聞こえて、私は慌てて立ち止まった。

 もう着いちゃったのか。さあ、いよいよ特別な場所とのご対面だ。

 期待にわくわくしながら目を開けた私は、そこに予想以上の光景を見て、茫然と両目を見開いた。

「……!」

 声を失うとは、まさにこのことか。

 胸いっぱいに吸い込んだ息を吐くことも忘れて、私は自分が立っている場所をグルリと見回した。


 ここは、天然の緑のトンネルだった。


 ずっと先まで左右に並んだ木々の枝に鬱蒼と繁った葉が、頭上で見事なアーチを形作っている。


 木の幹に絡みついた大量の蔦や、隙間なく生い茂る植物が壁になって、上下も左右も前後も、どこもかしこも緑一色。


 梢の合間から差し込む木漏れ日が、まるでダイヤモンドのようにキラキラ輝いて、この緑色のトンネル内をいっそう幻想的に浮かび上がらせている。
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