一途な御曹司に愛されすぎてます
 みっともないくらいパニクッている私の様子に目を細めながら、専務さんがまた意味不明なことを言った。

 私はブンブン動かしていた手を止めてキョトンとする。


「え? 贈り物? どういうことですか?」


「矢島様はご記憶にないかもしれませんが、私は前に一度、矢島様とお会いしているのです。冬の階上の里で」


 その言葉を聞いた私は目を丸くして息を吸い込んだ。

 私のこと、覚えていてくれたんだ!

「あ、あの、私も覚え……」

 そう言いかけたとき、ちょうどエレベーターが最上階に到着して扉がゆっくりと開いた。

 専務さんが扉を手で押さえながら、「どうぞ」と軽く頭を下げる。

 言い出すタイミングを逃した私は、とりあえずエレベーターから出て左右を見回した。
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