一途な御曹司に愛されすぎてます
「ご夕食のご希望の時間帯はございますか? ルームサービスもご利用いただけます」


「どうして、ですか?」


「それはもちろん、ルームサービスは一般的に利用可能なサービスで……」


「いえ、そうじゃなくて!」


 私は片手を自分の額に当てて眩暈をこらえながら、専務さんの言葉を遮った。

 ここは、はっきりさせておくべきだ。

 いきなりこんな恐ろしいほど豪勢な部屋に連れてこられて、『さあ泊まれ』と言われたって、誰が素直に納得できると思う?

 これは明らかに異常事態だ。後戻りできなくなる前にちゃんと意思表示しておかないと。


「私、このお部屋には泊まれません」


 そう訴える私を怪訝な顔で見ていた専務さんの眉尻が、少し悲し気に下がった。


「お気に召していただけませんか? 当ホテルではこちらが最上級のお部屋でして、残念ながらこれ以上のクラスをご提供することは叶わないのです」

「だから、そうじゃなくて!」


 私はもう一度、強い口調で専務さんの言葉を遮った。
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