一途な御曹司に愛されすぎてます
 この部屋に不満があるとかって次元の話じゃなくて、そもそも根本からなにかが間違っているんだってば!


「なぜ私に、こんなに良くしてくださるんですか? 理由がまったく思い当りません」


 語気を強める私を真っ直ぐに見ていた専務さんの目が、柔和に細められた。


「矢島様が、階上の里を褒めてくださったからですよ」


 低くて耳触りのいい声と、優しい微笑みに胸がドキンと高鳴る。

 完璧なイケメンの微笑みって、こんなに威力があるものなんだ。まるでモナリザみたいに一度見たら忘れられなくなりそう。


「で、でも、それだけで?」

 微笑みの威力を前にして、『そうですか』と無抵抗に納得してしまいそうになるところを、寸でのところでこらえた。

 だって、もし仮に私が専務さんの親兄弟の命の恩人だったとしても、ここまでしていただくのは申し訳なさすぎるくらいなのに。


「階上の里を褒めただけで、こんなに優遇してもらえる道理がありません」


「もちろん、最初にご予約していただいた分の料金はいただきます。それにモニターとしてのレポートも、後でしっかり提出していただきます」


「それは当然ですけれど、だからといって……」


「知りたいですか?」
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