一途な御曹司に愛されすぎてます
 交換条件を出されてしまった……。

 思わぬ展開に声が出てこないし、いくら抑えてもドキドキは増すばかりだ。

 顔を赤らめ、口元をモゴモゴうごめかしている私の様子をじっと眺める彼の表情は、やっぱり少し楽し気に見える。


「それでは七時にお迎えに上がります。それまでどうぞごゆっくりお過ごしください」


 まだイエスともノーとも答えていないのに、勝手に予定を決めてしまった専務さんが、丁寧にお辞儀をして出入り口に向かった。

 そして優雅な動作で扉を開けて、一歩廊下に出てクルリと向きを変え、また深々と頭を垂れて静かに扉を閉める。

 とたんに部屋はシーンと静まり返り、私はひとり取り残されて、唖然と立ち尽くした。


 ……えっと。私、初対面の大企業の専務さんと、お食事をすることになってしまった……のか、な?

 いまいち事情が理解できない。

 いや、そもそもその事情を説明してもらうために、専務さんと食事をする約束をしたんだった。

 約束をしたというか、気がついたらさせられていたというか……。今さらながら冷静に考えたら、これってなかなか理不尽じゃない?
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