一途な御曹司に愛されすぎてます
 フロントに連絡して部屋を変えてもらおうかとも考えたけれど、そしたら専務さんが恥をかくことになりそうだ。

 なにを考えているのかよくわからない人だけれど、悪意があるわけではなさそうだし、階上の里で受けたご厚意を仇で返す様な真似はしたくない。


 思いあぐねているうちに、顔と頭に上っていた血がようやく落ち着いてきて、それと同時に全身から一気に力が抜けていく。

 すぐ側のアームチェアーに座ろうとして反射的に腰を浮かした。

 こんな最高級品の椅子に座ったりして大丈夫なんだろうか?

 私のお尻の摩擦で繊維が切れてしまったらどうしよう。でも床の上に寝泊まりするわけにもいかないし。

 覚悟を決めて座ったけれど、無意識のうちに腹筋と背筋に異様に力が入っていることに気がついて、大きなため息をついた。

 私、旅行が終わったらウエストが細くなっているかもしれない……。
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