俺様外科医の極甘プロポーズ
「……それはまじめに仕事をしない人間だって思われていたということですか?」
「そうだ。たった数年で大学病院を辞めて、小規模の個人病院に逃げてきたような看護師だろう?」
悔しいけど、その通りだ。
その通りだけれど、自分がそんな風に評価されていたなんて知らなかった。こんな低評価な自分を棚に上げて、田口さんを励ましたりみんなのためになんていいながら、マニュアルを作ってみたりしたなんて笑っちゃう。
私はみじめさと恥ずかしさでこのまま消えてしまいたいとさえ思った。そんな私の気持ちをよそに、先生は続ける。
「そんな逃げ癖のついたスタッフは、早めに切ろうと思っていたんだ」
「切る……⁉ でも私なりに頑張ってきたつもりです」
首を切られるなんて困る。私は泣きそうになりながら訴えた。いやもうすでに泣いていたのかもしれない。滲む視界の向こうには、困り顔の先生がいて、気づけばその腕の中に捕らえられている。
私は混乱していた。こんなおかしな状況なのに、暖かくてほっとして、全然嫌じゃない。それは泣いている私を慰めるというそれ以上でも以下でもないシチュエーションだからなのだろうか。
「ごめん。泣かせるつもりはなかったんだ。そう思っていたのは、過去の話で……」
「過去?」
「そう。今では君の仕事ぶりをきちんと評価しているつもりだ。だからこれからも柏瀬病院の一員として頑張ってもらいたい」
「本当ですか?」
私は不意に顔を上げた。すると目の前に先生の顔があって唇が触れてしまいそうになる。
私はあわてて先生から離れようとした。