高校生夫婦はじめました。
「ッ…………知佳?」
私はぜえぜえと荒い息を整えながら、彼のベッドを這い出て床に降り立つ。振り返ると左の頬を押さえて目をぱちくりさせている正臣。平手打ちされたことに驚いているようだった。
ボタンをはずされて全開になっていたシャツの前を合わせて胸を隠しながら、私は彼に向って吠える。
「あっ……朝からなんて、するわけないでしょう!? 遅刻する!!」
彼の勢いに流されてすっかり忘れていたけれど、今は朝だ。そして私たちは学生で、学校に行かなければならない。
準備を終えていた朝食の存在も思い出して、“もう絶対冷めちゃってる……!”と嘆く私に、正臣は言った。
「“朝からなんてするわけない”って…………夜ならいいってこと? 今晩」
ちゃっかりと私の言葉の中からそこをキャッチして、尋ねてくる。いつもの正臣らしいテンション低めの表情。でもその瞳の奥は、明らかに期待を持ってキラキラしている。
私は目をそらし、自分の髪を触りながら束の間、考えた。
(心の準備はできてる?)
私も正臣としたいと思っていることは間違いない。好きだから触れたいし、触れられたいとも思う。
もう平気? ……それはよくわからないけど、さっきの求められる感じはすごく気持ちよかった。布越しに擦られるだけでああなら……裸だったら、どれだけすごいんだろう。その先だって知りたい。
コクッ、と私が頷くと、正臣は意外そうな顔で“パァァァァァッ!”と嬉しそうなオーラを出した。……こういうところだけわかりやすいな!
(約束してしまった……!)
*
――そんなやりとりがあって。
私は今晩ついに、正臣とすることになっているのです。