そして、失恋をする
『私が死ぬことが嘘であってほしいの、陸君は?』

「あたりまえじゃないか!」

千夏の質問に、僕は即答した。

「誰かそんな悲観的な未来を信じるの?千夏は生きるんだよ。これからも、そしてずっとさっきの未来も君は生きるんだ。癌なんかに負けないよ」

僕は、千夏をはげますように言った。

『やっぱり、陸君はやさしいね』

「べつに、やさしくなんかないよ。ただ、自分の願望を口にしてるだけだから」

『その陸君の願望が、この先の未来を私にも生きてほしいってことなんでしょ?』

「まぁ、そうだけど」

『やっぱり陸君は、やさしいじゃん。ありがと』

「………」

電話越しから千夏のお礼の言葉が聞こえて、僕の頬がかすかに赤くなったのを感じた。

『でも、ほんとうにそうなったらいいのにね。癌なんかに負けず、私もずっとずっと先の未来を生きれたらいいのにね』

「僕は、そうなることしか信じてないよ。千夏は癌なんかに負けず、ずっと生きられることしか信じてないよ」

僕の言葉を聞いて、電話越しから千夏のクスクスと小さな笑い声が聞こえた。


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